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「取り敢えず名前書いて来い」
「…へ?」
「あっち」
遅れた事を謝るより他にする事があるのだろうかと困惑する僕を余所に、恭介は今まで怒った様に吊り上げていた眉を落とすとニヤリと笑んで、ビシっと店の入口付近を指先した。
「腹減った」
あぁ、そっか。
指さした先を視線で辿ればソコには順番待ちの名簿用紙が乗せられた台。
その仕種は言外に、叱られるのは終わりだ、と示されていて。
「うん、行ってくる」
許されたのだと知ると僕も萎れた顔から笑みに変えて、そちらに歩んで行ってペンを取った。
いち、にー、さん…。
10番目かぁ。
少し待つ事になりそうだ。
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