9/14
3339人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ
. さて、その為にはこの邪魔者にお帰り願わねば、と着替えを終えてベッドに腰掛けて考える。 「翼君がね、風邪っぽくて帰らせたいから代打で来れないかって。 他に誰も捕まらないみたいだし。 どうせこれから一人で寂しくご飯でも食べるんでしょ? 一緒に行って店で何か食べようよ。 てか、奢って」 「奢る意味がわからん」 そうか、休みだった筈なのに急に出勤しろとか連絡が来たから、雨の方が良かった、なんて事を言っていたのか。 てゆうか、もしかして…雨を理由に断るつもりだったのか? コイツは…。 「やっぱり大樹って冷たいー。 一緒に行こーよぉ」 「冷たいの意味もわからんし俺は行かねぇ」 それならさっさと行けば良いだろう。 俺の事ならお気遣い無く、だ。 恐らく店長辺りと連絡を取っていたのだろう。 断る事は諦めたのか若干肩を落として、手にした携帯をぱちんと閉じて、窓際から甘えた声と仕種で擦り寄って来たソイツに、片手を払って帰れと告げる。 冷蔵庫の中で俺を待っているかも知れない、恋人の手料理を頭に描きながら。 .
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!