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さて、その為にはこの邪魔者にお帰り願わねば、と着替えを終えてベッドに腰掛けて考える。
「翼君がね、風邪っぽくて帰らせたいから代打で来れないかって。
他に誰も捕まらないみたいだし。
どうせこれから一人で寂しくご飯でも食べるんでしょ?
一緒に行って店で何か食べようよ。
てか、奢って」
「奢る意味がわからん」
そうか、休みだった筈なのに急に出勤しろとか連絡が来たから、雨の方が良かった、なんて事を言っていたのか。
てゆうか、もしかして…雨を理由に断るつもりだったのか?
コイツは…。
「やっぱり大樹って冷たいー。
一緒に行こーよぉ」
「冷たいの意味もわからんし俺は行かねぇ」
それならさっさと行けば良いだろう。
俺の事ならお気遣い無く、だ。
恐らく店長辺りと連絡を取っていたのだろう。
断る事は諦めたのか若干肩を落として、手にした携帯をぱちんと閉じて、窓際から甘えた声と仕種で擦り寄って来たソイツに、片手を払って帰れと告げる。
冷蔵庫の中で俺を待っているかも知れない、恋人の手料理を頭に描きながら。
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