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立ち上がった拍子に足をぶつけたのかテーブルが一瞬揺れて、恭介は驚いた顔を痛そうに顰めて。
そして僕の諌める声にまたゆっくりと椅子に座った。
「なんつぅか…
凄ぇな」
「…うん。
やっぱりそう…言うよね…」
食事を始めてからもう1時間半位は経っただろうか。
今はすっかり涙も止まり、食事はまぁ…あまり味がしない気がするけれど、口に入れた物はしっかり喉を通る。
握り締めていた写真立てもまだ大切に膝の上に乗せてあるけれど、涙の零れそうな、痛い程胸が締め付けられる感じも随分薄くなっていた。
きっとそれを助けたのは、今日は正体無くす位飲みまくれと恭介が進めた普段あまり口にする事の無いアルコールだったんだろうけど。
でも、気が落ち着いて酔いが回るに連れいつになく饒舌になる僕と、対象的に次第に言葉を無くしていく恭介。
「…で、それから?」
「以上です…」
呆れているのか、それ以上言葉もないのか。
溜め息を吐いて先を促した恭介にそう答えると恭介は、
「まぁ、やっちまったモンは仕方ないよな」
視線をあらぬ方へ向けてそんな風に呟いた。
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