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. 嶋村を好き、と徐々に実感していった僕だけど、だから嶋村とどうこうしたいとは不思議と思わなかった。 秋が冬になっても相変わらず嶋村の回りには沢山の仲間がいて、僕には三津木と数人の友人がいて。 そこに共通する事柄は何もなくて。 好きならアピールしなきゃ。 望みが無いかどうかなんて告白してみなきゃわかんない。 三津木を横に張り付かせた侭自分の席で本を読んでいると、近くの席に集まる女の子達がそんな風に言っている声が聞こえて来るけれど、僕にはそんな事考えもつかなくて。 それよりも、あんなに否定したにも関わらず、こんな気持ちで嶋村を見ている事を三津木に知られるとまたからかわれるだろう事は明白だったから、それを隠すのに精一杯で。 そして、ストレートだと思っていた自分が男に恋愛感情を持った事に後からほんの少し驚いたけれど、それもきっと三津木が言っていた様に気付かなかっただけで元々自分にはそんな素要があったのだろうと片付けた。 別に良いじゃないか、僕が男を好きになったって。 現に三津木はあんなにも幸せそうで、見ていると男だの女だのとこだわる方が馬鹿馬鹿しくなって来る。 そもそも僕が嶋村を好きだからって、どうやって嶋村に僕の存在を知って貰えば良いのかも分からないし。 だったらこのまま見ているだけで十分だ。 初めての片想いは、楽しくはなかったけれど、苦しくもなかった。 .
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