17/24
前へ
/153ページ
次へ
. 「もしかして俺、邪魔した?」 「…ぃゃ、べ、つに」 いつまでも答えず固まった侭黙っていた僕が、嶋村が来た事を不快に思っていると思ったのだろうか。 怪訝な声をした嶋村が覗き込んで来て、僕は更に緊張してしまって。 やっとの思いで答える言葉も切れ切れになってしまう。 「そっか。 御剣、今帰るとこ?」 その切れ切れになった言葉を、それでも聞き取ってちゃんと理解してくれたのだろう、嶋村は僅かに微笑むともう一度同じ事を聞いてきた。 「ぁ、ぅん。 本…」 「返すの?」 今度は早く返事をしなければと気が焦るけれど、必死に絞り出した言葉はたったそれだけ。 「…、ぅん」 「話し、あるんだけどさ。 待ってて良い?」 「…、ぅん」 一体、嶋村が僕なんかに何の用があるんだろう。 まともに話した事もないのに。 不思議には思ったけれど了承のつもりで頷くと、嶋村が嬉しそうに笑った。 .
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3338人が本棚に入れています
本棚に追加