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ウンディーネ
ようマスター、久しぶりだな、酒だ、いつものやつ
ん?ああ…もういいんだ
いや違うよ
辞めたんだよ 仇打ちは
何故かだって?
聞いたら見損なうぞ?
本当か?なら話すぞ
惚れたんだ
だから惚れたんだよ
そう、仇にだ
二年旅してようやく見つけたんだけどな
ウンディーネって言う妖精だか精霊だ
誰もいない森の小さな湖のほとりで長い緑の髪に透き通ったガラスのような白い肌…華奢な腕…
え?ああ、あれは美しかった
俺はその場で見とれちまったよ
そう思った時に俺は気付いたよ
きっと昔見たのは親父がウンディーネに引き連り込まれる瞬間じゃなくて、見とれてるうちに足を滑らせて湖に落ちたとこなんじゃないかって
でも不思議なもんだな
子供の頃はウンディーネが美しいなんて思わなかったのにさ
まさか惚れるなんて
…あれ?そういえば
子供の頃に見たものを何故ウンディーネと思っていたんだろう
え?何故そう思うかって?
だってあんなに美しかったら子供の頃でも見とれていたと思ってさ
まぁいっか!
彼の本当の仇がウンディーネではない事を思い出すのはこの数秒後の事であった。
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