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倒錯カケル青春イコール××
「ねぇ、君カッコイイね」
「え?」
それは放課後、買い物に行っていた街でぶらついていた夕暮れ時。突然、知らない女性から話しかけられた。
「私、彼と別れたばっかりで寂しいんだ。一緒にご飯食べない?」
アヤシイとは思う。第一に俺は今までカッコイイなんて言われたことがない。その俺にカッコイイ?食事に行きたい?
「まぁ、俺で良ければ。」
うん、俺で寂しさが紛れるなら。人助けになるんならそれもいいんじゃないかと思う。お腹空いてるし。決して可愛いからとかそんなんじゃないんだ。
「あは、ありがとう!どこがいい?」
「あの、持ち合わせがあまり無いんで、安いところで・・・マックとかでもいいですか?」
「私、レストランがいい。あ、サイゼなんとかっていう所!あそこ安いからそこに行こう?」
「まぁ、あのぐらいなら。」
なんて、勢いで付いてきてしまったけど、本当に良かったのか?いや、下心とか無いけど。なんか、傷心の女性を騙しているような・・・。っていうか、こうゆう場合、男が奢るべきなんだろうか・・・。
確認しようにも、この場でサイフを開くわけにもいかず、ポケットの底からサイフの重さを確認してみる。・・・うん、小銭は少なそうだ。って重さじゃお札の数はわからないわな。
「いらっしゃいませ~2名様でよろしいですか?」
「2名、禁煙席で。」
「こちらにどうぞ~。」
手慣れてるなぁ。学生の身分ではマックがせいぜいで、ちゃんとした(?)レストランで食べる事なんてあまり無い。今は女性の後ろをついていくのみだ。
「あの、さっきも言いましたけど、あまりお金無くて・・・。」
「ああ、いいのいいの。私が誘ったんだし、私が奢るよ。」
「いや、さすがにそれは・・・。」
「大丈夫、お姉さんに任せて。好きなだけ食べて良いよ?」
「お姉さんって。いくつなんですか?」
「いくつに見える?」
「う゛っ」
何故だろう?歳を聞く度にこんな事を聞かれる気がする・・・。低く言いすぎてもいけないし、高く言えば失礼だ。かなり苦手な質問である。
「にっ」
「に?」
「22・・・くらい?」
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