御主人様

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  「な、なにを……」  一瞬だった。  目前にラピィツの端整な顔立ちが迫ったと思ったら唇に何かが触れた。  震える指先を唇に手を当てた美癒を見て、クッとラピィツが喉で笑った。 「何だ? 初めてだったのか? それともただ、愚鈍なだけか」  嘲りが含まれた言葉に、カッと頬に赤みが差す。  キッとラピィツを睨むと愉快そうに瞳が細まった。 「そうだ。おまえは俺様だけ見ていればいい」 「――ッ!」  余裕綽々なその顔にムカついて、美癒は手を振り上げた。だが、あっさりとその手首を掴まれた。  
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