極上の贄

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  「………………、え?」  ぱちくり、と美癒は目を瞬かせる。  どうして。と、思った。  そして何がなんだか、状況が掴めないまま、ぼんやりと周囲を見渡す。  ――森、だ。  薄暗い森の中、美癒はぽつんと突っ立っていた。 「…………………」  訳もわからず、美癒は呆然となる。なったが、すぐに気を取り直した。 「あ、そっか! 夢か! なーんだ、びっくりしたぁ……」  背中を風に押されたとか現実味がありすぎて、驚き過ぎた。  安堵の息を吐いて、平静を装う美癒だったが心音は早鐘のように打ち響く。  
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