686人が本棚に入れています
本棚に追加
うねうねとした伸縮を繰り返しつつも、木々の間に茂る葉を荒らし、茂みを掻き分けて来る。
液体でもない。固体でもない。表現できないぬっとりとした黒い塊の“ソレ”。
美癒が凝視する中、“ソレ”は茂みから這い出して、美癒へと足を向けた。
「――ひぃ」
その意志のあるその行動に鳥肌が立ち、次の瞬間には、地面を強く蹴って駆け出した。
......
――逃げなくちゃ!
悲鳴が喉に張り付き、ドクンと跳ねた鼓動。
本能的に、美癒は狙われている、と悟った。
最初のコメントを投稿しよう!