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「ッ! 痛っ」
だが、突然の痛みに美癒は声を漏らし、その足を止めた。
落雷が落ちたかのような鋭い痛みに耐え切れず、美癒は近くの木に背を預けて足裏を見ると、石でも踏んで切ったのだろう。痛々しい傷が広がっていた。
裸足で野山を駆けていたのだから、当然の成り行きだった。だけど、そこになってやっと、美癒は自分の姿に気がついた。
お気に入りのオレンジのパーカー。そしてその下は、パジャマだったのだ。
「…………どうして」
夢、のはずだ。美癒はそう思いこみたかった。
夢だったら、醒めるはず。最悪の場面で、絶対に。
――そうじゃないと、ダメだ!!
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