プロローグ

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  「――――――ッ!!」  怖気が走る。  ずっと震えていたというのに、最大の恐怖に支配される。  ――もぅ、嫌っ! 知らない知らない知らないっ!!      ......  こんな世界知らないっ!!  ……夢、だと思いたかった。だけど、追われて逃げて、襲われて、怪我をした。  擦りむいた膝小僧からは血が滲んでいるし、じんじん痛い。  引き裂かれてしまった衣服は、もうただの布と化しいる。  私はなんとか、萎えた足を動かした。  ずりずり、と引きずって彼から少しでも距離をとろうとする。だけどうまく力が入らなくて、ほんの数センチしか後退できなかった。  
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