極上の贄

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   深夜、誰もがベットに潜り込んで寝静まろうとする時間。一人の少女が机に向かっていた。  艶やかな黒髪を一つに縛り、パジャマの上からパーカーを羽織るまだあどけない少女は気難しげな表情で参考書を睨みつけていたが、次の瞬間、その表情を綻ばせた。 「…………っし、解けた!」  勢いのままに書きなぐっていたシャープペンを鳴らし終わるとすぐに、放り出すように机の上へと転がし、そして大きく伸びをする。 「終わったぁーっ!!」  それほど大きな声ではないが嬉々とした声音で少女は、ぐっと椅子の背もたれに背を預ける。  すると、ぎしっと椅子が軋んだ。  
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