極上の贄

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   まるで、体重が掛け過ぎだと抗議するかのようだったが少女――結咲美癒(ユイザキ ミユウ)は気にも留めず、そのままの体勢でのんびりと手を大きく伸ばした。  ずっと同じ体勢をし続けていたせいで、強張っていた筋が飛びて気持ちいい。  ふぅ、と柔らかな息を吐いてから美癒はゆっくりと体勢を戻し、開いていた参考書へともう一度視線を戻した。 「んー、今日はここまでかな?」  正直、疲れた。それもあるけど。  美癒はちらり、と視線を上げて、時計を見る。  深夜ニ時。  いつもだったら布団に潜りこんで寝ている時間なのだが、一週間後と迫った定期テストに向けて勉学に励んでいたのだ――と言い切れればいいのだが。  
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