極上の贄

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   実のところを言うと、ただ単に時間が押したせいだった。  ――だって、あのドラマ。続き気になるし、見逃せないんだよね。  毎週、欠かさず見ているドラマ。それを見たがために、この時間となってしまっただけだった。  美癒は勉強に熱心な方ではない。それを証拠に、美癒は参考書に栞を挟んで閉じる。そして手慣れた動作でデスクトップライトを消して、寝る準備に入った。  ――だって、まだ一週間もあるし。大丈夫でしょー。  ふわぁ、と大きく欠伸をして、美癒は布団へと潜った。  まだ、ではなく「一週間しかない」と形容すべきなのだが。しかし、美癒は勉学に重きを置いていない、今時の学生だった。  
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