2人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
俺たちは音のしたドアの方を見ると、滑り込んだように風里が息をきらしながら倒れていた。
「お~い、ふーちゃん。ち・こ・くだよ~」
「本当に、いつもチリーンはギリギリだよなぁ~」
「さすが“ギリペン”だな」
俺と竜馬と聖菜は、挨拶ではない言葉を風里へ向けた。
「おはよー、ふうくん」
唯一挨拶を交わしたのは、弥生だった。
「おはよー、さっきー。あはは~、今回は少し寝坊しちゃったんだ~。つーかひーちゃん、“ギリペン”って呼ばないでよー!!」
風里は、“ギリペン”という言葉を頑張って否定した。
「ん~? じゃあ、ペンギンがいい? それとも、ネンギンがいい? 俺は優しいから、どちらか選ばせてあげるよ~?」
「どっちもイヤじゃー!! てか、普通に風里って読んでよ~」
俺が「それはイヤ♥」と言ったら、風里は地面に“のの字”を書きはじめていた。
風里もやっぱり高校からの知り合いだ。
ん? 何故風里が“ペンギン”って呼ばれているかって?
あぁ~……。それは、風里が俺に向かってペンギンみたいに体当たりしてきたのが始まりだ。
ん? “ネンギン”は、まぁ~……それは風里が悪いんだけどな。
ま♪ 俺のせいじゃないから、とりあえずほっとく。
「あ~、そうだ!」
いきなり竜馬がそう言って、鞄の中をガサゴソとあさっていた。
「ん~。これでもないし、あれでもないし……。あっれ~? どこにしまったんだっけ……???」
竜馬はそんなことを呟きながら、鞄の中から出てくる物を、俺のところへ投げてきた。
「ちょっ!! 竜馬、何で俺の方に物投げてくるんだよ!って、うわっ!?」
俺が嘆いた時、ひときは大きな本が投げられてきた。
最初のコメントを投稿しよう!