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その投げられてきた本を見て俺は、数秒硬直してしまった。
そしてすぐに我に返って、竜馬を見ながらため息混じりに口を開いた。
「おい、竜馬……。お前、何つーもん鞄に入れてるんだよ!!」
俺は竜馬に抗議しても無駄だと思い、半ば呆れたようにその本を風里の方に投げた。
投げた瞬間、風里の方から「べふっ」という声が聞こえてきた。
風里の方を見たら、見事に顔面に当たったみたいだ。
風里は、鼻を押さえて半泣きになりながら俺の方を見ていた。
「ひーちゃん、ヒドイよ!! 何で僕の方に投げ……」
言いながら風里は、竜馬から俺へ、俺から風里へ投げた本を見て硬直していた。
そして次の瞬間、いきなり赤面してあたふたしていた。
「うわっ━━!!?? たたた、たつま!! なっななんでこんな本、学校に持ってきてるんだよ!?」
かなりどもりながら竜馬へ抗議する風里。
抗議を言い切った風里は、何故か俺の後ろに隠れていた。
竜馬は風里を無視しながら、鞄の中からガサゴソと物を出しては、俺の方に投げ続けていた。
俺は風里がくっついているから、動きが少し鈍くなった。
「………。で、お前は何で俺の後ろに隠れているんだ? つーか、竜馬はいつまでも俺の方に物を投げるな!!」
俺が不満を漏らしたら、風里が少しおどおどしながら口を開いた。
「だって……。たつまが何かしてきたら恐いんだもん」
「だからって、何で俺の後ろに隠れるんだよ……」
ため息混じりに言っている俺をよそに、竜馬の動きがようやく止まった。
「だって、ひーちゃんの後ろに居れば安全だし……。それに、この本も隠したいし……」
「隠したいのは、分かったけど……。お前、俺のこと何だと思ってんだ?」
そう問いかけると、風里は少し考えていた。
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