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風里が考えている間に、竜馬が鞄の中からようやく見つけた物を俺たちのところへ持ってきた。
その持ってきた物を見た瞬間、風里以外はみんな硬直してしまった。
「たっつん……。それ……、何……」
少しして、聖菜が竜馬のそれを指して聞いた。
「竜馬……。マジでお前……、何持ってきてるんだよ……」
俺は、呆れながら手を額にあてた。
「えっ~と……。何か、すごく派手だね……」
苦笑混じりに言う弥生。
「ん~と……。ひーちゃんはね……、悪まお…ぐはっ!」
風里は悩んで言おうとしたことを、俺が殴って黙らせた。
「すごいだろ! このド派手ピンクのデコレーション付き日記帳!! 学校近くにある“プルドッグ”で買ってきたんだぜ♪」
目を輝かせながら力説する竜馬を見て、俺たちは一瞬にして『こいつ、スゲー……』と心の中で思ってしまった。
「ひーちゃん、痛いよ~……。って、たつま……それ何?」
それまで、竜馬のド派手ピンクのデコレーション付き日記帳に気づかなかった風里は、ようやく竜馬の持っているそれに目を向けた。
「気づくの遅いよ、ふーちゃん」
「遅すぎだ、アホペンギン」俺と聖菜がそう言うと、ガーンというポーズをとって、地面にのの字をまた書きはじめた。
「だ、大丈夫だよ! ふうくん!!」
弥生は、落ち込んでいる風里を慰めていた。
竜馬は何故か黒い笑顔になって、風里の肩をポンッと軽く叩いた。
「? た、たつま、な、何かご用ですか……」
風里は竜馬の方を見て、何故かびくびくしはじめた。
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