八人に一人、起こること。

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 できることならあちら側の人間として、入院したかったなあと思わずにはいられませんでした。  翌日家に戻り、バッグにつけていたマタニティマークを外しました。  なんとも言えない寂しい気持ちが胸に広がって、また泣きそうになってしまいました。  ああ、もうお腹の中に赤ちゃんはいないんだ。  私は、もう「お母さん」じゃないんだ。    こんな思いをたくさんの人が経験してるかと思うと、なんだかやりきれない気持ちになりました。  でも、ゆっくりと悲しみをかみしめる時間さえ、私にはありませんでした。
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