悩みと、前進と。

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 夫は常日頃から自分を不幸だったと主張していたわけではありません。  むしろ、そういう過去を語りたがらないのです。  ただ、子どもの話題になる時にはどうしても感情的になってしまうようでした。  私に話してくれたほかにも、もしかしたら辛いことがあったのかもしれません。  結婚して数年経った今でも、あまり触れられたくないようなので。  ただ、私は逆にだからこそ自分たちの家族を、家庭を作りたい、と思っていました。  なぜなら、私自身もまた、いびつな家庭で育ってきたからです。  はたから見れば、両親も揃っていて普通に生活できるほどにはお金があって、好きな進路に進むことも応援してもらえる、恵まれた家庭だったと思います。  ですが、少なくとも私にとってはそうではなかったのです。
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