1.爆弾発言

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  「ふぅ~……寒いな」 「はい、寒いです……」  俺の隣で嶺川雪(ミネカワ ユキ)は肩を震わせていた。  俺達は2人で家路に着いていた。空はもう真っ暗で、空気は冷え切っている。 「明日、どっか行くか? それとも家にいる?」 「そうですね……真はどうしたいですか?」  雪が俺にそう返してくる。この状況で説明する必要はないだろうけど、真ってのは俺だ。鳥風真(トリカゼ シン)。  この言葉って意外と困るんだよなぁ。雪は気を遣って言ってくれてるんだろうけど、逆に俺が気を遣ってしまう。 「じゃ、まぁ家に着いてから決めるか」 「はい」  だめだ、こう寒いと頭が働かない。  因みに、俺達は今クリスマスパーティを終えて帰る途中だ。  後輩である山本武(ヤマモト タケシ)君の家で行われていた。武君の家に行くのは2回目だけど……うん、広い。さすが医者。  あ、もちろんそこには俺の妹、と言うか武君の彼女である魅実(ミミ)もいたわけだが……ここにはいない。理由を言う必要はないと思うけど。  他にも俺達の同級生である梅山聖(ウメヤマ コウキ)、愛理(アイリ)のペアももちろんいて、あとは1つ下、魅実や武君と同い年の逵宮遥斗(ツジミヤ ハルト)君と坂下星那(サカシタ セイナ)ちゃんのペア、これで全員だ。8人、いつも弁当を一緒に食べている、よく知った面々。 「でもこれ……何入ってんだろう」 「私のも……これ、遥斗さんのでしたっけ?」  俺達は手に持っているラッピングされた包みを見て話し合った。クリスマスパーティの定番のプレゼント交換で貰った物。誰にも言わずに準備するというルールだったので、何が入ってるかはわからない。  確かこれ、魅実のだったよな。団子とか入ってたらどうしよう。あいつだからあり得ない事もない。
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