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「ただいま~……あ~、あったけ」
俺の家の中に入る。雪の家はすぐ隣だけど、一緒に俺の家に来る事になった。
「おぉ、おかえり雪ちゃん」
リビングでテレビを見ていた父さんがそう言ってくる。念のため言っておくけど、俺の父さんだ。でも俺より雪の事を気遣ってる。
俺と雪はまっすぐ2階へ上がり、俺の部屋に向かった。
俺の部屋……
「……何だこれ」
「何もないです……」
ちょっと待て、何が起きた? どうして俺の部屋がきれいさっぱり片付けられてるんだ?
いや、これは片付いてるなんてもんじゃない。何もない。空っぽだ。ベッドすらなくなってる。
「あ~、そうそう、お前出てけ」
「は?」
階段を上がってきた父さんに言われた。何? いきなり親権放棄だと?
「荷物は全部運んだからな。雪ちゃんの家に」
「ほぇ?」
雪の惚けたような声が聞こえてきた。隣で雪は首を傾けて父さんを見ている。
「うん、だから、同棲しろって、そろそろ」
うん、そうだよな。そろそろ……
「はぁぁぁぁああ!?」
「だから、お前今日から雪ちゃんと暮らせ。って事にしたいんだけど雪ちゃん良いかな? もちろん家事は全部こいつがやるから」
「ちょっと待て何勝手に決めてんだ!」
何だこの状況は! 同棲? 同棲ってあれだよな、俺と聖みたいに性別が同じの……いやいや、え~っと……雪と同棲!?
一緒に住むって事……だよな?
「えぇっと……その、真?」
雪がそう言って俺の方を見た。さっきまで寒さで白くなっていた顔が、ほんのりと赤く染まっている。
「よろしく……おねがいします?」
「あぁいえいえ、こちらこそ……」
雪が深々と頭を下げてきたので、思わず俺も同じ事をする。
…………
……マジですか?
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