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その直後に父さんに家を追い出され、俺達は隣の雪の家に行った。
「うわっ……ごめん、後であいつ殴っとく」
俺の部屋にあった物がリビングに全て置かれている。ピアノとかベッドも。運んだだけかよあの野郎! てか服これどう見ても投げ捨てたようにしか見えねぇ!
「え、え~っと……とりあえず空いてる部屋があるので運びましょう」
雪がそう俺に言って、近くにあった俺の学校指定の鞄を取る。その頬が、少し赤い。
そりゃそうだ。ほら、あれだぞ? 同棲だぞ? いや、正直俺と雪の家は隣同士だし、泊まりとかよくしてたし、何かが大きく変わる訳じゃないんだけど、でもなぁ。
雪の家は以前家族3人で暮らしていたので、1人暮らしには広すぎる。だから使っていない部屋がいくつもある。雪はあんまり物をため込まないので、空っぽの部屋になっている。
そして俺はその中から1部屋もらい、そこに荷物を運び始めた。雪の寝室の、隣。
「ふぅ~……とりあえず大方運んだな。後は……」
「ベッドとピアノですけど……」
俺達はリビングに戻って父さんが置いたベッドとピアノを見て、ため息をついた。
てかあいつはどうやってここまで運んだんだよ。
「これは明日にでも聖達に手伝ってもらうかな」
「そうですね。すみません、私全然力無くて……」
「いやいや、全部あいつのせいだし、雪が謝る事ないよ」
そうだ、全部あのクソ親父のせいだ。明日殴ろう。
でも今日はもう遅いし、風呂に入って寝ようかな……
…………風呂?
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