582人が本棚に入れています
本棚に追加
「真、大丈夫ですか……?」
不安げに雪が訊いてきた。別に熱かったけど火傷する程じゃない。
「大丈夫、もう何ともない」
俺がそう言うと雪は再び俺の頭にドライヤーを近づけた。今度はふざけたりしないで、丁寧に俺の髪を乾かしている。
別にふざけてもらったって良いんだけどな。さっきの程度ならやられても構わないし。
「あ~……眠くなってきた……」
一気に眠気が高まってきた。携帯に手を伸ばし時間を確認すると、もう11時過ぎだ。
でも、たぶん眠気の原因はそれだけじゃない。
俺の髪に温かい風が当たり、雪の手が撫でるように髪を乾かしている。なんだろうこれ、もの凄く気持ち良い。雪の頭を撫でた時に雪が気持ち良さそうにしてたけど、その気持ちがわかる。
「なら乾かし終わったら寝ましょうか」
「あぁ、そうだな……」
そう返事をしときながら、俺の頭はフラフラと動いていた。やばい、本当に寝そう。
「はい、終わりました」
目が閉じかけていた時、雪の声が聞こえてきた。俺は何とか起き上がる。
「ありがとな」
「いえ、私がしたくてやっただけですので」
雪がにっこりと笑ってリビングから出ていった。ドライヤーを置きに行ったんだろう。
さて、もう寝るか……
「あ、真?」
俺がベッドに向かおうと立ち上がった時、雪が戻ってきた。
「その……ここで寝るんですか?」
雪がそう訊いてきた。俺のベッドはリビングに置きっぱなし。仕方ないからここで寝るつもりだ。
最初のコメントを投稿しよう!