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俺は雪の寝室に入り、なんとなく辺りを見渡した。
無駄な物が本当に無いんだよな。勉強机の上に学校指定の鞄があって、その横に教科書とかが置いてあって。後はその横の本棚に楽譜がある。
それ以外にあるのはベッドとタンスだけ。とても今時の女子高生の部屋とは思えない。
あぁ……そういえば俺昨日ここで土下座したんだなぁ。しかもその後の1シーンを魅実に盗撮されて……今日のクリスマスパーティーのいじられ方は悲惨だった。
まぁそれもみんな俺達の事を心配してくれてたからなんだろうけど。
「よいしょ。よいしょ」
そんな事を呟きながら雪がベッドの布団の中に入っていく。そう言うほど力は入ってないだろうからたぶん照れ隠しだろう。
正直先に布団に入られたら困るんだけどなぁ……後から入る俺がどんな気持ちなのかも少し考えてほしい。
いや、ただ同じ布団で寝るだけで決してそれ以外の意味はないんだけどね? 断じて変な意味はないからな!
そんな事を心の中で誰かに言ったけど、本当の事なのに何故か言い訳にしか聞こえなかった。
「真? どうしたんですか?」
雪が布団から顔を出して訊いてくる。そういえば雪って割と平気で俺の布団に入ってきたりするよな……まぁ嫌ではないけど、もちろん。
「いや、別に何でも」
俺はそう答えて布団をめくり、雪の隣に寝転がった。
「真、おやすみなさい」
頭がくっつきそうな近距離で雪がそう言ってくる。口元に雪の温かい吐息がかかる。
「あぁ、おやすみ……」
……って寝れる訳ねぇだろ!
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