7人が本棚に入れています
本棚に追加
幸せのカタチは人それぞれ
何の上に成り立っているか
知ろうと思ったことはあるかい？
サァカス サァカス 始まるよ
君に一時の幻夢を与えよう
さぁさぁ 準備は出来たかい？
物語のはじまり はじまり
「やぁやぁみなさんこんばんは。今日もボク・気まぐれ道化師クンの話を聴きに来てくれてどうもありがとう。さぁ、今日は特別な『夜闇のサァカス』。ボクも今までとはすこぉし違ったお話をします。ちょっぴり怖いお話さ。お客さんの中で怖いのが嫌だってコがいたら、今日は残念だけど帰ったほうが身のためだよ～？ 心の準備はいいかい？ まぁだ？
……それじゃあ話を始めよう。
『むかーしむかーし、じゃないかもしれないんだけど。まぁ、どこの世界の話だったかは、相変わらずボク忘れちゃったんだけどね。
とある村に幸せそうな一組の恋人たちがいたんだ。
この恋人たちは村中から祝福されていたんだよ。何故ならその男の人は村一番勇敢で、とても優しいんだとみんなから認められていたから。そして村長の息子だったからね。
そして女の人はすごく綺麗で、家事もよくやるし、控えめでおしとやかだったから。この世界ではどうもそれぞれこんな人達が素晴らしいって言われてたみたいだね。
ところがところが。
そんな幸せだった日々が結婚式を直前にして一変しちゃったんだ。
どうしてだと思う？ 実はねぇ、女の人が妊娠してるってことが分かったんだって。赤ちゃんができたってことは幸せなことだよねぇ？ なんでなんだろう。
理由はこんなものだったんだ。
その村では、結婚前に妊娠するってことは罪なんだって。つまり悪いってことなんだ。女の人が、男の人を誑かしたから罪なんだってよ？ 本当は、男の人が嫌がる女の人を無理矢理……ってのが事実だったんだけど、男の人はねぇ、こんな風に言ったんだ！
こいつが、こいつが娼婦みたいに俺を誘って誑かしたんだ！
……ってね。勝手な言い分だよねぇ。
そんな言葉に女の人は泣き崩れてしまったんだ。だけど村の人達は次々に男の人に同情をして、女の人を罵ったんだ。
売女め、とか、淫乱だ、とか……うーん、言葉が難しくて分かんないってコは、まだ解らないでいいからね？ 雰囲気だけ分かればいいんだよ。とにかく、女の人にすごく酷い言葉をいっぱい浴びせたんだ。つまり集団で一人の人をいじめたってことさ。
→
最初のコメントを投稿しよう！