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そして、女の人はどうなったと思う?
酷いことに、太い縄で縛られて、目隠しされて、村外れの大木に括り付けられたんだ。このまま一週間何事もなかったかのようにほったらかしにする。これがその罪を犯した者への罰だったんだ。普通、そのままじゃ死んじゃうよね。
だけど、なんと女の人は助かったんだよ。どうしてなんだと思う?
遠くの街からこの村に移り住んでいたお医者さんが、この女の人を可哀想に思って、食事をあげたりしていたんだ。だってお医者さんはこの村の掟を知らなかったし、こんなことは間違っていることだって、解っていたからね。
そして近くの街で亡くなった身寄りのない女の人の死体を譲り受けて、その女の人の縄を解いた代わりに死体を木に括り付けたんだ。
女の人はお医者さんの家で治療を受けたんだよ。そしてお医者さんは村の人にばれないように、女の人の髪の色や髪型を変えて、最後に名前も変えさせたんだ。こうして彼女は、見た目は全く別人になったんだ。
お医者さんは女の人に言った。
僕の知り合いのいる遠い街に行って、新しく人生をやり直してはどうだい? って。
でもね、女の人は言ったんだよ。
私はこの村に残ります。やらなくちゃいけないことがあるので…… と。
どうしても頑としてお医者さんが止めるのも聞かなかったから、とうとうお医者さんは自分の生まれた街から来てくれた助手として、彼女を村に残すことに決めたんだ。
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