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何処か知らない街の地図。それをどうにかこうにかして手に入れた少年は旅に出た。
着いた場所はなんだか気味悪い雰囲気の工場みたいな所だ。研究所だったかもしれない。とにかく少年は自分の願望を胸に秘めてその中へと入っていった。
そこにいたのは人間みたいなお人形さん。女の子のお人形さんだ。
少年はそのお人形に博士はいるかと尋ねた。それを聞くとお人形はこちらです、って言って淡々と、ぎしぎしと歩いていくわけだ。
やっぱりお人形はお人形。瞳にはなんにも映さないし、声も機械の淡々とした声。それなのに少年の心は湧きあがった。どうしてだろう?
少年は嬉しかったんだ。ああいう物を見られたこと。そうして自分もそうなれるんじゃないかってこと。
やあやあ、と変な格好をした博士が言った。
博士はピンク色の髪でそれはそれは毒々しい。眼鏡をかけて白衣を羽織ってはいるがどう見たって怪しい。
でも、これでさえも少年にとっては感動ものだったらしいんだ。すごいねぇ。
少年は博士に自分の思いを伝えた。
今まで生きてきて人間が信じられない、嫌悪していて、自分がその端くれであることが許せないということ。
だから、自分はロボットになりたいんだと。
そうすると博士は笑って言った。
そうかそうかぁ。君の言いたいことはよぉく分かったよ。オレがその夢を叶えてあげよう。
ただし、ロボットの身体にはできないんだ。
オレにはオレのやりかたってものがある。それでもいいならどうぞ。
少年はもちろんいいと言った。
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