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はい、博士のことを嫌って、殺そうとしていたので、金属の棒で殴りました。
そうだったのかぁ、お前は本当にイイコだね。
それにしては元気が無いようだ。
何か困ったことでもあるのかい? 何かあればオレに言ってごらん。何でも望むことを叶えてあげよう。
少年はしばらく黙った後でこう言った。
出来るなら、この自分を殺して欲しいと。
自由を与えられても、自分で考えられずにただ死を待つだけの自分を。
それは出来ない。そう言ったらどうするんだい? 君は。
自分で死ぬ場所を探して死にます。
少年ははっきりとした声で言った。そこには不思議なことに
虚ろだった瞳はなくて、澄んだ眼をした少年が立っていたんだ。
ならオレが、やってやるよ。少年。
一発の銃声。それが全てだった。
少年はその場に倒れ込んだ。即死だった。
まだ、温もりを残した身体だけが床には残っている。
その床に広がって流れる液体は赤かった。
それは少年が人間だったと思える、ほとんど唯一と言っていいくらいの証拠だった。
あーあ、仕方ないなぁ。どうして自我を消したはずなのにあんなことを言い出すのかなぁ……失敗だったかな。
博士は一人でぶつぶつと言っていた。
せっかく、綺麗なお人形が出来たと思っていたのにな。
もったいないなぁ。どうしよう。……そうだ! 身体は綺麗なままだ。それなら脳だけ造ればイイよねぇ。
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