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side神
「ふぅ。上手くいきましたか」
私は先ほどまで光っていた魔方陣を見下ろしてため息をつく。
まさか世界に干渉することがここまできついとは思っていなかった。
一回だけでこの疲労感、もし直接私が世界に干渉したら、死んでしまうかもしれない。
「それにしても・・・」
私は先ほど守護者として送った少年を思い出す。
桐ヶ谷海斗という名の少年。彼なら上手くやってくれるだろう。
そのための力をこっそりと付与しておいた。
本人はあんなことを言っていたが、あれだけの覚悟があればあの力も使いこなせるだろう。
しかし彼を送るもう一つの目的を伝えることが出来なかった。
だが世界の歪みが出来るまでまだ時間はある。
それまでは第二の人生を謳歌してほしいと思う。
だって彼も愛すべき私達の子供だから。
「ふう、戻りましょうか」
またあの部屋に戻ろう。何も出来ない見るだけの、苦痛だけの部屋に。
だが不思議といつもは重い足取りも普段よりは軽く感じた。
やはり種を蒔いたからだろう。
あの少年が一人でも多くの人間を救ってくれることを祈りながら、私はいつもの仕事に戻った。
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