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そんな風に会話をしていた二人だったが、それは急に現れた黒ずくめの人影によって遮られる。
人影はカイゼルの元へ瞬時に移動し、耳元で何かを囁くとふっと消えた。
カイゼルは急に厳しい顔つきになると、少し悩む素振りを見せ、そこからアルベルトに向けゆっくりと話しかけた。
「久し振りの会話を楽しみたかったが、そうもいかないらしい・・・・悪い話だ。おそらく今回のパーティー[リヴァイアサン]の連中の襲撃があるかもしれん。」
「っ!?それは本当か!」
アルベルトの顔が思わず引きつる。
それほどまでにカイゼルから告げられた情報は深刻な問題なのだ。
犯罪組織リヴァイアサン、基本的には貴族に恨みを持つ人物達が集まり、国家転覆を狙う組織。
主に恨みのある貴族を襲撃している、ただそれだけならまだ良かったもののその周囲に住む無関係の人々さえ容赦なく手にかけることから非常に問題視されている。
さらにやっかいな事にアジトを発見し、襲撃してももぬけの殻そんな集団がここを襲ってくるというのだアルベルトの顔が引きつらないわけが無い。
「潜り込んでいる密偵からの情報だ。間違いない。奴ら最近おとなしいと思っていたら時期を待っていたらしいな」
「かなりタイミングが悪いな。よりにもよって何でこの時期に」
「すまないな。完全に予想外だった。お前達をこんな危険な事に巻き込んでしまってすまないと思う」
「お前の責任じゃないさ。俺が絶対に守り抜いてみせる」
すまなそうに頭を下げるカイゼルの肩を軽く叩き、アルベルトは自身の拳を強く握り締めた。
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