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「こちらでございます」
俺達は父さん達と別れた後、メイドさんに中庭に案内してもらっていた。
広大な土地を使って作られている中庭は庭師の手入れが行き届いており、均一に伸びた芝生、咲き誇る花々がその美しさを競っている。
その中庭をちょうど一望できる位置にテラスのような建物が建っており、そこから複数の人影が見えた。
おそらくまだ子供であろうその人影はこちらの姿を確認すると、手を振りながらこちらに走ってくる。
「お~いメイお菓子をまた欲しいんだ。ところでそいつらは?」
「こちらはだんな様のご友人のご子息で「レム・フローライトと申します。こちらが妹のアリス。どうかお見知りおきを」
燃えるような赤毛の少年の問いに貴族式の正式な礼をしながら返す。
ちなみにアリスは若干人見知りらしく俺の後ろに隠れてぺこりと頭を下げる。
「ははっ!父さん達みたいな奴だな。俺はクラウド・フレイム、来いよ、今皆でお茶を飲んでるんだ」
赤毛の少年クラウドは俺達の手を握って建物のほうへと走っていく。
そんな様子をメイは微笑ましそうに見つめた後、お菓子の追加を取りに行くため厨房に向かった。
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