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「失礼しますね」
ミリアはこちらが返事をする前に鮮やかな手つきで自分の分の紅茶を入れ、俺の隣の椅子に腰を下ろした。
「あれだけ、防御魔法を連発して、平然としているのはさすが神童といったところですね?」
「いやいや、そんな神童なんて恐れ多いです。それより防御魔法一つの僕よりもクラウドの方が神童と呼ぶにふさわしいと思いますけど?」
実際、まだあの年であれだけの魔法を扱えるクラウドは防御魔法だけしか能のない俺なんかよりも遥かにその称号にふさわしいと思う。
「そのクラウドの攻撃を全てあしらっておいて何を言っているんですか」
ミリアは楽しそうにくすくすと笑う。
どうやら俺の言葉は冗談として受け取られたらしい。
「本気で言ったのになぁ」
「過ぎた謙遜は時として嫌味になります。少なくともレンさんの前では言わないでくださいね?」
ミリアは真面目な顔でそういうと紅茶を飲み干し、遊んでいる集団の中へと戻っていった。
「レンには言うなってどういう意味だ?」
ミリアの言っていた言葉の理由が分かるのはもう少し後の話だった。
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