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それから何事も無くエンドロールまで進んだ。
私はさっきの恐怖で見たかった筈の映画の内容が全く頭に入ってこなかった。
ちらほらと席を立つ人がいるエンドロールの最中、いきなり公務員に抱き締められた。
私は驚きのあまり硬直…。
そのままエンドロールが終わり劇場に灯りがつくと公務員の腕の中からやっと解放された。
私は愛想笑いを顔に貼り付けたまま公務員と劇場を出た。
外に出ると辺りは夕暮れ。ドッと疲れた…。
公務員は何事も無かったかのように話しかけてくる。
手はやはり繋がれていた。
私は愛想笑いと共に適当に相槌を打つ。
「…これからどうする?」
センター街まで来た所でそう聞かれた。
(一刻も早く帰りたいっ!!)
身の危険をも感じる私の素直な心情だった。
でも、やはりハッキリとは言えないので嘘をつく。
「あ~…私門限あるからそろそろ帰らないと…。」
「あ、そっか…」
中学生だしね!
効果は抜群!!
「じゃあ…」
「また遊びに行こうね」
「ははっ…」
待ちに待った解散。
別れを告げて足早に駅へと向かった。
あの後、公務員からの連絡に何度か返事はしたけど直ぐに私はフェードアウトしたのは言うまでもない…。
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