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「この度は、本当にご愁傷様でした。」
私の隣で、深々と頭を下げるお母さん。その目には涙が浮かんでいる。
「あゆちゃんには、息子が本当お世話になったわよね…」
相手のおばさんも頭を下げた。
周りを見渡せば、真っ黒の装束に身を包んだ人の海。
まともな会話なんてしたことない、高校のクラスメートの啜り泣きが聞こえる。
白を基調とした祭壇の中央で微笑む。知ってるけど、知らないアイツ。
私の大好きだった笑顔の写真。
今じゃ大っ嫌いになった。
「あゆ、お焼香させていただきましょう」
今だに鼻を啜っているお母さんに手を引かれ、アイツの前へ…。
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