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私は心のこもっていない、形式的な焼香をすませた。
「ありがとうね、あゆちゃん。きっと竜(リョウ)も喜んでるわ…」
喜んでる?
そんなわけがない。あんなに睨みながら焼香したんだし…。
「体、気をつけてね」
私のお母さんが、おばさんを気遣った。
帰り道、お母さんに肩を叩かれる。
「何?」
「あんまり、気を落とさないでね」
「なんの事?私は別に気にしてなんかないから。アイツには悪いけど」
私は乾いた笑いを浮かべた。
「…あゆ」
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