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=朝=
「あゆ~そろそろ起きないと遅刻よ」
1階から、お母さんの声が聞こえる。
ダルイ。
「行きたくない」
久々に発したこの言葉。
「もう、本当にいないんだね…」
カーテンが開けっ放しになった、お隣りさんの部屋を見つめる。
今までならこれくらいの時間に、窓開けてベランダつたって勝手に人の部屋入って来て、馬鹿デカイ声で起こしにきてたっけ。
『お前いつまで寝てんだよ~!マジ遅刻だから』
そんな事を思い出しながら時計を見ると、さすがにヤバイ時間になっていた。
つかの間の感傷に浸ったあと、嫌いな制服に腕を通しす。
ネクタイをしめる手がいつも以上にゆっくりしている事が、「行きたくない」という私の本心をはっきりと表していた。
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