7773人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
「おはよう、お母さん」
「…おはよう、あゆ」
…お母さん、寝れてないんだね。
目が真っ赤だよ。
テーブルに並べられた朝食を見ていると、目玉焼きに目がとまる。
「ねぇ、お母さん」
「なに?」
箸を手にとり、その黄身をつついてみる。
…やっぱりだ。
「半熟嫌いだってば…」
「あら…。いつもの癖ね」
お母さんは、照れ臭そうに皿をさげようとした。
私が朝ご飯を食べていると、いつもアイツが隣に座って、お母さんに焼いてもらった目玉焼きを食べていた姿を思い出す。
「……待って。…私が、食べるから」
アイツが好きだった、半熟の目玉焼き。
お母さんは私の言葉を聞くと、少し微笑んで皿をテーブルに戻した。
半熟特有のグニュっという食感。
やっぱり好きになれそうにない。
そんな事を思いながら、流し込むように目玉焼きを頬張った。
自分でも、なんでこんな事したのかわからないけど。
最初のコメントを投稿しよう!