降下

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レミーは自宅のアルバムを見ながら言った。 そこには10年前の自分が何枚も写っている。 「ジーク……」 指でなぞるその写真には幼なじみの笑顔が写っている。 あの事件のため無事に船が出たのかも分からなく、連絡も全くなかった。 どこを探しても見つからなくて、もう亡くなったのだと自分に言い聞かせる毎日が続いた。 どうにか割り切れたように思えた今も時々堰をきったように思いが溢れ出す。 まだ生きているんじゃないかという当てもない希望が彼女にはあった。
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