降下

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決して容易ではない。 地球軍に見つかる可能性は大いにある。 父と母は地球側への報復心と息子を戦場へ駆り出す罪悪感とのなかで長い間揺れていた。 火星に移り住んですぐにジークはバトルドールの操縦訓練を始めた。 ただツクヨミでみたバトルドールがかっこよかったからという単純な理由だったのだが、母がかなり悲しそうな表情をしたのを覚えている。 その後の彼の成長はめまぐるしいものだった。 火星駐留宇宙軍の総合撃墜数の記録をシュミレーターでいとも簡単に打ち破り大人たちの度肝を抜いた。 優れた操縦技量、的確な判断力、鋭い勘。 まさに「神童」。ジークは天才と称されていた。
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