第一章

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「…………。……血を……絶やさぬこと……でしょうか」  その答えに薫は眉を寄せた。  納得したような、そうでないような……もやもやと霧が掛かったような気分になった。  もしかして、訊いてはいけなかったのかもしれない。自分はそこまで踏み込んではいけなかった? 「……始祖の血は確実に受け継がれています。今は、本家の嫡男が盟約を継ぐことになりますね」  目を開けた鶸は、薫を真っ直ぐに見た。 「…………鶸さんは、本家の人じゃないんですか?」  まるで自分は本家とは関係ないと、他人事のように聞こえた。  本当にこの子は……、と鶸はぽつりと呟いた。 (妙なところで鋭い) 「…………私は本家の人間ではありませんよ。──ところで、日本には妖怪と呼ばれる者が存在していますが……私達は彼らの退治も請け負っています」  薫の知るいつもの鶸にすっかり戻ったかと思いきや、彼女は飛んでもないことを言い出す。 「妖怪は何も、夜の生き物とは限りません。一般的に動物と同じです。…………因みに、貴女の学校にも一匹いますよ?」 「……………………へ?」  薫は固まった。  ……今、何と? 「若い子は元気ですねぇ。朝覗いてみましたが、春休みだというのに部活動ですか~。妖怪も頑張ってましたねぇ」  暢気に話し続ける鶸に対し、薫は混乱していた。  今、学校にいるって……妖怪が? …………何で?  薫は遂に思考すらも止まった。そこへ鶸は、容赦なく薫の学校生活に罅(ひび)を入れる。 「でも、アレ……貴女のクラスメイトですね」
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