528人が本棚に入れています
本棚に追加
/1004ページ
修行を始めてから数日後、激しい筋肉痛に見舞われた薫は、阜から「情けな」と言われながらも、居間に倒れていた。
その時、テレビのニュースで奇妙な出来事が報道された。
『藤崎内閣総理大臣。
長田防衛大臣。
真鍋経済産業大臣。
新井自民党幹事長。
──以上、四名の自宅・官邸に、大量の銀杏が届けられました。
現在取り組まれている雇用・経済政策を批難する者の仕業ではないかと思われます。
警察も悪質な悪戯として捜査を開始すると思われましたが、警察は事件としての捜査もしないと公式発表しました。(以下略)──』
「…………」
薫と阜はテレビの前で茫然と立ち尽くした。その四名とは、先日、深山家に来た閣僚達であった。
彼らの私邸に、門前を塞ぐようにしてドンと置かれた、実に迷惑な程の銀杏が贈られた。
季節外れの銀杏に、閣僚達は彼女の仕業だと直ぐに察知し、捜査をせぬよう警察庁長官に連絡するや、彼女にお詫びの品を贈ったそうな。
その後、東京のど真ん中で『季節外れの銀杏料理対決』が開催され、その銀杏は無料で国民に提供されたのだが──その間、彼らの私邸は銀杏の悪臭に悩まされることになる。
最初のコメントを投稿しよう!