第二章

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   ◆   ◆   ◆  何処からか話を聞き付けた生徒がによって、美術室での出来事は瞬く間に学校中に広まった。騒然とした学校内では教師達が後始末に追われ、生徒は途中下校させられた。  深山家に帰った薫は、居間に集まっている小さな神々に事の経緯を話した。すると、短い腕を組みながら狗燎が答えた。 「ん~……それは、妖怪の仕業じゃな」 「やっぱり?」 「誰か分からんのか?」 「全然……」  薫は首を振った。  鶸は分かっている様子だったが、彼女は今、日本に居ない。 「鶸様にお訊きするか?」  薫の頭に乗っかっている冰蛇が提案するも、瑳狐が首を振った。 「教えてくれる思うん? 教える気ィあるんやったら、とっくの昔に教えとるわ」  そう言って、ズズズ、とその体に見合った小さな湯呑みを傾けた。  瑳狐の言うことには一理ある。  普段何を考えているのか、何をしているのか分からない鶸。しかし、今回の件は確実に薫に関係している。さらに、鶸は薫にそれを解決させようとしている。  だから、何も言わない。だから、あのような事を言って残した。 『クラスメイトの中にいる』  薫が片付けるべき事だ──と。  それが、どんな結末を迎えるものであれ。 「……よし、薫、わしも学校に行くぞ」
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