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思い立ったように狗燎が言った。え? と、小さな神々は一様に彼を見た。
「…………狗燎が?」
薫も目を丸くした。
「……まさか……お主も転校生が見たい──などと言うておるのか?」
公猫は冷ややかな目で狗燎を見た。狗燎はさっと目を逸らす。
「…………それもある」
瞬間、天天の扇が飛んできた。扇は見事パコーンと額に命中し、狗燎は後ろに倒れた。
「儂も行きたい!」
天天が高らかにそう叫んだ途端、複数の鉄拳──一つは尻尾──が炸裂した。お前が一番ダメだという容赦ない突っ込みに、天天は呆気なく敗れ去った。
「……馬鹿か、お前ら」
テーブルに頬杖を突いてテレビを観ていた阜(つかさ)は、呆れたように吐き捨てた。
◆ ◆ ◆
それは注目の的になっていた。
「やだ、可愛い」
「ぬいぐるみ?」
「どこで売ってるんだろ」
「案外手作りだったりして」
向けられる好奇な視線は、持ち主である少女と、少女の鞄にぶら下がる一つの縫いぐるみに集まる。
(ホントに良いのかなぁ……)
少女は、ぶらんぶらんと揺れる、鞄に付けるにしては大きい縫いぐるみを心配した。
色んな意味で──。
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