第二章

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 昨日の事件のことは今日も話題になっていた。  しかし、薫が教室に入るや否や、女子生徒達が鞄に付けられたそれを見て、「それ何?」「可愛い~」「ほしいな~。どこ売ってるの?」と群がり始めた。  彼女達の質問攻めという連続攻撃を躱わして何とか自分の席に辿り着いた薫に、今度は後ろの席にいた聖が質問した。 「深山さん、それって……」 「可愛いでしょ?」 「あ、うん……」  薫はしれっとした態度で質問を躱わした。 (……む~…気配が弱すぎて分からん)  鞄にぶら下がるそれは、教室を見渡しながら気配を探った。しかし、相手が力を抑えているのか、特定には至らなかった。 「薫。合わないよ、それ……」  美咲がやって来てはそれを指差した。 「可愛いから良いの」  笑みを浮かべる薫に、まあいいか、と美咲は話を変えた。 「今日、千春のお見舞いに行くんだけど……あんたも行くよね?」 「病院、知ってるの?」 「先生から聞いた。ほら、あたし達仲良いから。先生もそれを知ってるし」 「俺も行くぜ」  別のクラスの筈の恭介が話しに入ってきた。 「相馬、お前も来るだろ?」 「いや、僕は……」  振られると思っていなかった聖は言葉に詰まった。 「お前も友達じゃん。千春も喜ぶぜ? 賑やかな方が良いってな」  体を引こうとすると、「行かないなんて言わないよな」と脅迫染みたことを言われ、さらに逃げられないよう肩を抱かれててしまい、聖は諦めてお見舞いに行くことにした。
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