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【高架下から望む朱】
喰らい合うような、キスをした。
ただ、貪るばかりに。
列車の通過する騒音をどこか遠くに聞きながら、私は彼の首筋を掻き抱いた。
漏れ出る溜め息さえ飲み込んでしまいそうな深い深い口付けに、融解していく理性を感じながら。
霞む視界の中、ふと、彼の肩越しに見えた光景に、私は目をすがめる。
光溢れる、美しい世界。
ああ。
私達は、二度とあそこには戻れない。
だって選んでしまった。
この暗がりに、生きることを。
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