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「シュージは行くだろー?カラオケー」
昇降口を出たところで追い付いてきた制服姿の卓に、僕は瞬いた。
「卓は行くの?陸部は?」
「今日は自主トレだからさ。帰ってから走りに出るわ」
そっか、と笑いかけると、卓は物言いたげに僕を見つめた。
「どうしたの?」
単刀直入に聞くと、卓は少しばかり気まずげな様子で、それでも小声で聞いてきた。
「お前さ。カナが今日デートしてる相手、どんな奴か知ってる?」
「…知らないよ」
僕は短く答える。
卓が、残念なような、ほっとしたような表情を浮かべた。
「卓はホントにカナが好きなんだね」
わざとそう言って微笑んでやると、卓は瞬く間にその両頬を染め上げる。
「なっ…なんで俺が…っ」
うつむいてしまったノボセ顔に、僕は苦笑する。
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