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「並んでるとお人形みたいだよねー」
「いや。シュージはそれでもイイけと、カナみたくオッサン臭い人形、いらねーだろ」
「あー。それは確かにー」
何やら失礼な話題で盛り上がる愛海と卓に深く息を吐くと、私は窓の外に視線を送る。
昼休みの校庭は、サッカーやらダンスやらに興じる男子と、あちこちで井戸端会議をする女子とで賑わっていた。
この寒いのに。と、呆れながらも、そんな彼らが羨ましいとも思う。
今日の空は、突き抜けるような晴天だ。
あの澄んだ青の下で思いっきり深呼吸出来たら、嫌なことも忘れられるんじゃないかと、思える程に。
「カナ達はとーちゃん似?それとも、かーちゃん似?」
「へ?」
突然振られた質問に、私は瞳を瞬かす。
「だからさー。お前とシュージって、どっちの親と似て」
「卓っ!」
愛海が慌てたように卓を制した。
その必死な様子に卓が首を傾いで何か言おうとした途端、修二の柔らかな声が響いた。
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