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「だからそんな涙を流す必要もありませぬ。」
「・・・んっ。」
小十郎の指が離れると政宗は小さく頷き、自ら小十郎の胸に頭を預けた。
「・・・柄にもなく、怖ぇ夢見ちまってな。」
「どんな夢か、お聞きしてもよろしいですか?」
温かな腕に包まれたせいか、落ち着きを取り戻した政宗はぽつりと話し出した。
小十郎の合いの手にこくりと頷き、話しを続けた。
「オレはどっかの合戦場にいて、大将と決着を着けてた。
それで、当然勝ったのはオレなんだが・・・斬った大将ってのの顔が・・・。」
「顔が?」
政宗は小十郎の衿をぎゅっと握り、顔を俯かせた。
「・・・小十郎の顔、だったんだ。」
「・・・。」
「その後はパニクっちまって訳わかんなくなって・・・ずっと小十郎の名前を叫んでた・・・。」
政宗は再び手に震えを感じていた。
衿を握り締めている手がふるふると小刻みに震えていた。
それに気が付いた小十郎は政宗の手の上に自分の手を重ねた。
「・・・怖ぇんだ。夢だって分かってても。」
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