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(此処は・・・何処だ?オレは何してるんだ?)
政宗は訳も判らず刀を振るっていた。
指の先から凍るように冷たい雨に降られながら自身の愛刀を振るっていた。
そして、今自分が何をしているのかをぼんやりと思い出した。
此処はどこかの合戦場らしい。
そして自分は最後ただ一人残った総大将と一騎打ちに持ち込んだのだと思い至った。
相手が斬り込めば自身は刀で防ぎ、隙をついて刀を振るう。
手数、太刀筋から相当に腕の立つ相手らしい。
刀を振るえば振るうほど、政宗は背筋がゾクゾクっとするような快感に浸っていた。
「ハッ!こんなに楽しいのは久しぶりだぜ!」
政宗の大きな独り言に雨で顔のよく見えない相手が口元だけで笑ったように感じた。
「アンタもそうだろう?」
そういいながら政宗は自慢の六双の爪で猛然と跳び掛かった。
相手はそれを防ぐ為に刀を守りの方に構えた。
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